カード会社、信販会社、銀行…貸した業者に遠慮する必要は無い
約20年前に自己破産する前の事です。
私が結婚したのは23歳の時でした。その時点で消費者金融に約100万円ほどの借金がありました。
結婚当時に私はアパレルの販売員をしており、いわゆる昭和バブルの終焉時期。
世間ではデザイナーブランドの高額の服をカード払いで買うという風潮が残っていました。
同世代の方は「赤いカード」と言えばわかると思いますが、私はそのビルにテナントとして入る店舗で洋服の販売をしており、安い給料の大半は社員販売の洋服代の支払いに回るという生活を送っていました。
売り場に立つには、私が販売するブランドの洋服が必要で、季節ごとに高額な服を社員割引で少し安くしてもらい購入するのが当たり前の感覚でした。
不足する生活費はサラ金からの借金で補い、気がつけば、今は無くなってしまったテレビCMで有名だった大手消費者金融会社を筆頭に5~6社のサラ金に100万ほどの借金。
結婚してからは生活を変えようと運送業、建設業へと転職し、それから10年ほどは給料日には近隣の駅前にあるサラ金ビルへ向かい、返済してはその場で再び借り入れ限度額まで引き出して帰るという生活を続けていました。
毎月金利だけ払っている訳で、借入している金額は減りません。当時のサラ金の金利は高額で、金利を払うだけでも生活費が不足する有様でした。
返済が遅れると、その場で再び借り入れる事が出来なくなってしまいます。
再び借り入れるのが、生活する上での必須条件だったので、遅れずに必ず返済に行きました。
サラ金との付き合いも長くなり、借入額は減らず、返済も遅れないとなると、彼らにとっては上客だったのでしょう。
いつの間にか借り入れ限度額が増えていて、ATMから引き出せる金額が多くなっていたりします。
こちらとしては、金利を払うだけでも生活費は厳しいので、限度額までいつもより多く引き出し、一時的に暮らしは楽になるのですが、当然次月から支払う利息は増え、再び生活が厳しくなって来ます。
現在では法改正により個人への総額の貸付限度額が決まっていますが、当時は関係の無い時代。
他社との借り換えを勧められ、3社分を1社にまとめ、借入が0円となった2社は「借りてくれ」と限度額を増やす…借入の総額が減っている訳では無く、金利の負担は多くなる一方で、生活は厳しいまま。
10年ほどサラ金とそんな付き合いをしていると、借金の総額は300万ほどに増え、金利の支払いだけでも給料だけでは足りなくなる状態に近くなってしまいました。
そこで困り果てた私が訪ねたのが、東京弁護士会の地域支部が開催していた相談会でした。当時はサラ金問題が深刻化していたのか、毎週末に相談会が開催されており、法的な知識など何も無かったのですが、取り合えず話を聞いてもらおうと向かった訳です。
2人1組の弁護士と面談し、今までの経緯を話すと一人の弁護士には呆れて詰られ、不愉快な思いになりましたが、もう一人の弁護士は弁護士会で対応してくれるとの事。
別室に通され、別の初老の弁護士から自己破産を勧められました。
借りた物は返したい。そんな話をした覚えがありますが、その初老の弁護士は一言。
「もう返したでしょう。払う事ないよ」
乱暴な話に思えますが、確かに金利として借入した金額分くらいは返した気がしたのを覚えています。
借りた物は返さなければいけない。
それはその通りですが、友人や知人から借りたお金を借りた同額返すのと、金融業者に約束の金利を上乗せして返すのとは、同じ話ではありません。
約束が守れなかったのは申し訳ないですが、業者は守ってもらえない事も前提に高額な金利で貸した金額分を先に回収しようとしている訳です。
天下の回り物であるお金を、登録免許一つで商売にして儲けている金融業者に遠慮する必要はありません。
業者は払ってもらえない事も織り込んで儲かる仕組みを作っています。